下記のQ&Aは、パーソナルアセスメント/気質分析を実際に行った方々とのQ&AをFAQ形式でまとめたものです。
Q1. レーダーチャートが全体に分散している人と一部に偏っている人ではどのように違いますか?
A1. 一般的に、レーダーチャートのパターンが全体に分散してバランスのとれている人は、気質がメインスタイル(主たる気質タイプ)といくつかのサブスタイル(主たる気質タイプ以外で割合の高い気質タイプ)で構成されているため、様々なタイプの人と幅広くコミュニケーション対応することができます。企業の上級管理職にこのタイプの人が多くいます。バランス感覚があるためか相手にもやんわりとした感じを与えます。
パターンの偏っている人は、気質タイプがメインスタイルのみ、またはメインスタイルと隣のサブスタイルとのみで構成されているため、個性がよりはっきりしており、特定の環境で大きな強みを発揮します。レーダーチャートが分散している人と一部に偏っている人ともに、それぞれに特徴と強みがあるのでどちらがよいということは一概に言えません。逆に状況や環境に応じて、気質タイプの分散状況を見て、投入する人材を使い分けることが効果的であると言えます。
Q2. レーダーチャートの面積と気質タイプ構成の比率が対応していない場合があります。これはなぜですか?
A2. レーダーチャートは診断結果を示しています。気質タイプ構成の比率は、これまで蓄積された分析データをもとに、診断結果を考慮しつつ総合的に計算しています。気質タイプ構成の比率は相当程度正確になるよう算出されていますが、それぞれの状況によってレーダーチャートの面積とは異なる場合があります。レーダーチャートの面積はあくまで参考として下さい。
Q3. 相手との関係を探る際、レーダーチャートのパターンの異なる方が相性がよいですか?
A3. 二人の関係をみる場合、一般的にパターンが似ていると情報の入力の仕方、そして判断の仕方が似ているためコミュニケーションがしやすくなります。パターンが異なると、合わない部分があるためコミュニケーションはしにくくなる傾向になります。しかしながら、パターンは違っていても、両者に同じ経験や共通の基盤がある場合は、コミュニケーションに困難は生じず、相性もよいでしょう。
Q4. 相性をもっと詳しく知ることはできますか?
A4. 人は似たところで結びつき、異なるところに惹かれる傾向がありますので、気質モデルにより大体の相性を知ることができます。気質モデルのレーダーチャートは、情報の捉え方と判断の仕方という切り口でアンケート結果を示していますが、相性をもっと知るには、このレーダーチャートに表わされていない要素も勘案することが必要です。それらは、考え方・行動の仕方のバランス、相手に対する対応の傾向、相手の理解度・お互いの親密度、ワーク・ライフ・バランスなどです。ブレンドメソッドでは、これらを総合的に分析するツールを用意しています。
Q5. 組織メンバが多い場合、各パターンの人が混在すると組織はうまく動きますか?
A5. 組織の置かれた環境により、最適組織のあり方が違ってきます。一般的に、状況があまり変動しない場合、短期的にはその状況に合った(現在の課題を解決できる)パターンの人材で構成するとうまくいきます。
逆に状況が変化する場合、四つの気質タイプの人材を混在させてうまくマネジメントすると、どのような環境(状況)にも適応できる組織になります。実際に、変化が激しい環境のなかで、異なる気質タイプの人材を組み合わせることにより、大きな成果を出した開発プロジェクト事例が数多くあります。
Q6. 日本企業の海外代表事務所のようなところには、理想重視の気質タイプ(Ⅳ型やⅢ型) が集まりやすいのでしょうか?
A6. 日本企業のある海外代表事務所では、代表者がⅣ型、社員はⅣ型x2名、Ⅲ型x1名、Ⅱ型x0名、Ⅰ型x1名、合計5名の人員構成となっています。代表事務所などでは、将来に向けた仕事や人間関係の多い仕事が中心になるため、必然的に理想重視のⅣ型やⅢ型が多くなるかもしれません。
Q7. 生産、研究開発、営業の各部門ではどのような気質タイプ構成が理想的でしょうか?
A7. 実際のところ、気質タイプに合う職種を選択するより、その気質タイプに合う環境(職場や人間関係)を勘案して選んだ方がよいでしょう。例えば、開発部門において、①同一または同様の商品を現在と同じやり方で開発するような場合は、現実重視型/定型的対応の気質タイプを中心に、②全く新しい商品を開発したり、全く新しいやり方で開発する場合などでは、理想重視や状況に応じて非定型的対応できる気質タイプの人材を中心に入れると仕事がうまく進みます。
Q8. FBS(フィードバックシート)ではポジティブな面での評価になっていますが、これは意図的ですか?
A8. 人にはポジティブな面とネガティブな面の両方あります。ブレンドメソッドでは、ポジティブな面(すなわち「強み」)に焦点を当て、強みを活かして短期間で事業上の成果を出すことに重点を置いて分析しています。
Q9. ストレス自覚度が高いとストレスに弱いということでしょうか?
A9. ストレス自覚度とは、アンケート回答で見られたその人のストレス自覚度合いを表しています。ストレスは、①本人の気質などの個体要因と、②仕事の環境、上司/部下の人間関係などの環境要因との相互作用の中で発生します。気質タイプにより、ストレスに強い/弱い傾向は確かにあるものの、必ずしもストレス自覚度が高いからストレスを受けやすいとは限りません。一般的に、生き甲斐度やストレス対応度が高い場合、ストレスを乗り越えるケースが多く見受けられます。
Q10. FBSの自分自身の理解度が高い人は、より自分自身のことを明確に理解できているということでしょうか?
A10. 自分自身の理解度とは、明確に回答した比率です。すなわち、この数字が高い人は自分を理解していると言えます。この数値は高い人で95%、低い人で50%というデータがあります。しかしながら、この数値が高いからといって、必ずしもブレの少ない行動パターンになっているということではありません。
Q11. 人の気質タイプはずっと同じですか?それとも変化しますか?
A11. 気質タイプは、個体要因と環境要因により変化するものであり、変化しやすい人と変化しにくい人が存在します。実際に変化した事例として下記の例をご紹介します。
1.日本人管理者の例:
1回目 2回目(1年2ヵ月後)
気質タイプ 【Ⅳ型】 【Ⅳ型】(タイプは同じ)
気質タイプ構成 Ⅰ型 17% → 0%
Ⅱ型 23% → 17%
Ⅲ型 26% → 36%
Ⅳ型 34% → 48%
*レーダーチャートの形が変化
*環境の変化もあり、自分の特性を活かす考えに転換した結果として変化
*現在の姿(2回目)が自分の本来の姿に近いと認識(=すなわち、気質タイプ分析を通して、本来の自分自身の気質を有効に活かせた例)
2.外国人管理者の例:
1回目 2回目(1年後)
気質タイプ 【Ⅳ型】 【Ⅲ型】(タイプが変化)
気質タイプ構成 Ⅰ型 43% → 24%
Ⅱ型 0% → 16%
Ⅲ型 23% → 60%
Ⅳ型 34% → 0%
*レーダーチャートの形が変化
*環境変化が影響したことで、気質タイプの型別分布が変化(すなわち、気質タイプはそのときの環境等によっても変化することの証左)
Q12. 強み16分析において、気質タイプ構成と強み16構成の比率が一致しないケースがあります。これはどう判断したらよいでしょうか?
A12. 多くの場合、気質タイプ構成と強み16構成の比率は概ね一致しています。しかし、実際、一部に一致しないケースがあります。これは、本来の気質に関連する強みでだけでなく、学習の結果などから生まれた強みなどが加わったものと考えられます。
日本人管理者の例:(特にⅠ型部分に大きなギャップ)
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ
気質タイプ構成 3 17 27 53 (%)
強み16構成 26 21 17 36 (%)
この日本人管理者の場合、細かなデータを収集・分析するのは得意ではありません。しかし、幼いときから知的好奇心が強く、シャーロックホームズなどの推理小説を好んで読み、人の身なりや動作を観察し、虫眼鏡を使った証拠集めなどに興味をもって活動しました。その結果、本来少しだけ存在する気質の部分を学習を通じて強化した結果、それが強みとなったわけです(Ⅰ型の部分)。これと同様に、例えばⅡ型の気質タイプ部分は小さいにも関わらず、社会に出て学習した結果、Ⅱ型の強み部分を強化した例もあります。
Q13. AG/PV度と、聞き上手との関係がありますか?
A13. 一般的に、PVが強いと人の話をよく聞く傾向があります。しかしそれだけで聞き上手とは言えません。「聞き上手」を「相手とうまく話をしてよく聞く」と定義すると、PVとAGのバランスのとれたアサーティブな人がコミュニケーション上手と言えます。
なお、自分と相手の思考・行動パターン(気質タイプなど)が似ていると話が通じやすく、また、本人が興味のある話題・内容や、感情に訴える話の場合、話を聞きやすいことを留意してください。
Q14. 気質タイプと左脳型/右脳型との関係がありますか?
A14. 気質モデル(気質タイプ)と左脳型/右脳型のぴったりした相関関係は見られませんが、気質タイプⅢ型とⅣ型が、右脳型と強い相関関係にあります。人間の思考・行動を氷山に譬えると、水面に出て見えるところとその下辺りが気質モデル(気質タイプ)で判断できるものであり、左脳型/右脳型の部分はそれよりもっと深いところにあると考えるとよいでしょう。気質タイプは人間に光を当ててできる影のようなものを見ており、概ねその人を表していると考えてよいですが、人間の全体をより本質的にとらえるには、他も要素も加味して総合的に判断することが大事です。
Q15. 自分自身の気質タイプは「PA気質分析Web診断」で判定することができますが、これでは他人(相手)の気質タイプを判断することができません。他人(相手)の気質タイプを簡単に判断する方法はありますか。
A15. 他人(相手)気質タイプを判断する方法として、2つの簡易的判断方法があります。
1)「3つのステップ」による方法
相手の思考行動特性を、以下の3つのステップで判断することにより、気質タイプを判断(推定)することができます。
ステップ1:「理想重視」か「現実重視」か分析する
2:「定型的思考」か「非定型的思考」か分析する
3:気質タイプの全体的特徴が合っているか確認する
詳細はテキスト「人材分析がわかる本」P.8-9と、JTEXテキスト「最強のチームをつくる!自分力アップ講座」P.28-29に、「簡易分析手法」として紹介しています。
2)「気質分析診断ツール(簡易版)」による方法
「気質分析診断ツール(簡易版)」(無料)を使用します。本ツールは、1)項の「3つのステップ」をもとに作成したものです。 「気質分析診断ツール(簡易版)」をダウンロードして進めます。
①はじめに、以下のURLにアクセスしてください。
https://www.okazaki-hrd.com/パーソナルアセスメントの内容/
②次に、左側の「パーソナルアセスメントの内容」のタブの下の「気質分析診断ツール(簡易版)」のタブをクリックして、ここからダウンロードして下さい。
③ダウンロードしたツール(Excelファイル)を使用して、相手の思考行動特性を判断して入力することにより、気質タイプを判断(推定)することができます。
詳細は「気質分析診断ツール(簡易版)」を実際に操作してご確認下さい。
本ツールを利用して気質分析診断にチャレンジされると、相手の気質タイプを判断する能力も高まります。ただし、一般的に人それぞれ「思い込み」があります。その「思い込み」に起因して、本ツールの判断精度がそれほど高くなくなるケースもあることもご了承下さい。したがって、気質タイプを判断する能力が高まるとこの判断精度も高まります。
Q16. パーソナルアセスメントの結果は、どのように受け止めればいいでしょうか?
A16. パーソナルアセスメントは、その人の良し悪しを決めるものではありません。目的とするのは、自分自身そしてメンバーの個性、特性、強みを知り、それらを適切に把握しながら、人材を開発・活性化し、チームとしても組織の活性化に向けてチームビルディングを円滑かつ効果的に進め、結果的に成果を創出することです。
Q17. パーソナルアセスメントの結果として、「とても強いX型」(※注:「X型」は適宜「Ⅰ型」「Ⅱ型」「Ⅲ型」「Ⅳ型」に読み替えてください)になりましたが、「とても強い」より、バランスが取れた型の方がいいのでしょうか? また「とても強いX型」の場合、他のメンバーと接する際に留意すべきことはありますか?
Q17. 「とても強い」気質タイプなので、このご自身の強み・特徴を活かせば、仕事などで優れた大きな成果を収められることでしょう。ただし、一般的に自分の強みを発揮できる場では上手に対応できますが、逆に弱みが出やすい場では崩れやすいため、弱みを補完する努力も重要です。具体的な対処方法として、以下の方法が考えられます。
【A案】ご自身は「とても強いX型」の強みを活かした行動に注力する。そして、X型以外の型はそれほど強くないことを認識したうえで、その弱みを補強すべく、他のチームメンバーの力を借りて行動するようにする。他の型の人に対しては、相手と自分の違いを意識し、相手に「少し」合わせて話すようにされるとよいでしょう。この「少し」がとても重要で成功の鍵となります。この案は、努力に対する成果の割合が大きい傾向があります。
【B庵】ご自身でX型以外の他の型の気質要素を開発し、それが表出するよう努力する。ただし、この案は時間をかけて努力した割に成果があまり出ない傾向があります。
これまでのパーソナルアセスメント分析の蓄積に基づき、「投資」対「効果」(「努力」対「成果」)の視点から、【A案】をお勧めします。
Q18. 簡易法による気質タイプの診断の他、「口癖」やある質問に対する「回答の傾向」等で判断できたりしないでしょうか?
A18.
【「口癖」に対する判断】
「口癖」は、癖のようにいつも言うことやその言葉を意味します。これは、本人の長い育成史(自分のいる家庭環境や取り巻く社会環境など)の中で築かれたものであり、必ずしも気質分析(思考行動特性)で対応するものではありません。そのため「口癖」による判断は難しいです。
【ある質問に対する「回答の傾向」からの判断】
ある質問に対する「回答の傾向」から、ある程度判断することは可能です。
(1)対応方法
相手に質問して、その回答の傾向を、(i)「理想重視」か「現実重視」か、(ii)「定型的思考」か「非定型的思考」か、の2つの基準で判断します。回答の傾向で判断した後あらためて、そのように実際に行動するかを確認してください。行動すればその判断は正しい傾向と言え、逆に行動しなければその判断は正しくない可能性があります。
質問の内容としては下記のようなものがあります。
①仕事などに関して、現在どのような問題/課題があると思いますか?
②問題/課題について、どのような対策があると思いますか?
③あなたはどのようなことをやりたいですか?(仕事orプライベート)
④○〇さんは、今xxxの問題に直面して困っています。助けてあげて欲しい。対応よろしくお願いします。
(2)判断1(「理想重視」か「現実重視」か)
判断1は比較的簡単です。
上記の①や②のような質問に対して、相手が「直近か短い時間軸(現在~数か月~1年以内)」のスタンスで回答をすれば、相手は「現実重視」(Ⅰ型かⅡ型)と判断します。他方、「長期展望で長い時間軸(数年~10年~もっと先・将来)のスタンスで回答すれば、「理想重視」(Ⅲ型かⅣ型)と判断します。
特に質問しなくても、相手が常日頃話している内容から、判断できることもあります。
この方法はとても効果的です。例えば、「私はあの商品にはこのような問題があると思う。すぐ改善する必要がある」と言えば→「現実重視」。「私は会社の基幹部分にXXXの問題がある。将来大きな問題になる可能性大と思う。時間をかけてもこの点を直しておかなければならない」と言えば→「理想重視」と判断します。
(3)判断2(「定型的思考」か「非定型的思考」か)
経験を積むと判断できるようになります。
上記の③のような質問に対して、相手が「私は△△をやりたい」と話しその内容が、事物やコトに関するものであれば、「定型的思考」(Ⅰ型かⅢ型)が強いと判断できます。一方「私は□□さん達とこのようなことをやりたい」と話し、その内容が人間や気持ちに関するものが多い場合、「非定型的思考」(Ⅱ型かⅣ型)が強いと判断できます。
④のような質問の場合、相手が「どのような問題があるのかよく調べて対応を検討した上で対応したい」と状況を確認し問題をはっきりさせた上で行動するようであれば、「定型的思考」(Ⅰ型かⅢ型)が強いと判断します。他方、「そりゃ大変だ、すぐに会ってみよう」「とりあえずこのように行動しては?」と、人に焦点を当て、状況がよく見えないうちに行動するようであれば、「非定型的思考」(Ⅱ型かⅣ型)が強いと判断できます。
上記のように判断すると、正しく判断できている傾向にはあるものの、例外も多々あることに注意して下さい。