「ピーターの牧場」によるチームワークとダークサイド診断(概要)


 

 

イノベーションを起こして事業の成果を上げるには、よい人材とよいチームワークが必要である。

 

よい人材の育成、よいチームの構築のためのプロセスや仕組みが多く開発されているが、実際にうまくいく例はそう多くない。何故だろうか? 構築された多くのプロセスや仕組みは心理学的思考でできており、それが、適用できる人材ならうまくいくが、適用されない人材だとうまくいかない。そもそも人間としての基本的な要素に着目していないからである。

 

これまで当研究所において、多くの人材分析診断・フィードバックや組織チームワークの改善の多くの事例を扱ってきた結果、明らかになったことがある。それは、①うまくいくチームには、もともとよい状態の人材がいてチームワークを推進する力があり、放っておいてもそれなりに成功する可能性が高い。効果的なアドバイスを与えるだけで、チームワークが大きく改善できる可能性がある。一方、②うまくいかないチームには、もともとよくない状態の人材がいて、チームワークを破壊する可能性をもっており、無理にチームに入れられるとチームワークを壊してしまうことが多い。チームをうまく進めるためには、このような人材は、当該チームから外して活用するのがよい。このような人材にはカウンセリング的で、人間として基本的な部分に焦点を当てた対応が求められる。これからの社会では、どちらの場合でも人材の強み・得手および状態を把握し、それを活かしてチームワークの中で仕事をしてもらうための新しい手法が必要だ。その1つが「ピーターの牧場」モデルとダークサイド診断である。


「ピーターの牧場」モデルとダークサイド診断


今や我々は、AIの進展、デジタル化、破壊的イノベーション、ベンチャーの広がりなど、世界を大きく変えるメガトレンドの中にいる。この環境の中で、企業が勝ち抜くためには、よい人材の育成とよいチームワークを達成するための、短期間に投資効果が出やすい、新しい手法を生み出す必要がある。過去の高度成長期のような安定した時代の時間とカネをかける手法は通用しない。石垣構築でいえば「穴太衆積み」のように、人材がもっている強み・得手を活かし、それらを組み合わせて頑丈な組織(チーム)をつくるための、短期間に投資効果が出る手法の一つが、よいチームワークを構築するための「ピーターの牧場」モデルであり、よい状態の人材の見分けるため「ダークサイド診断」である。

 

大事なことは、チームワークを考える前に、基本となるよい状態の人材を見分けることだ。まずは、人材の能力に加えて、人材が社会でうまく対応しにくいダークサイド(ネガティブ)の面をどれだけもっているかを診断し、次に人材の思考行動特性や個性等を分析・診断する、その後チームワークのための組織アセスメントに進むことが重要なのである。

 

(1)「ピーターの牧場」によるチームワーク

チームワークをうまく進めるために、ダークサイド診断を活用して、下記の「ピーターの牧場」モデルでチームづくりを進めるとうまくいく。

 

図1 ピーターの牧場

よい状態の人材を集め、よい人材主体のチームを構築し、ピーターがリーダーシップを発揮してチームワークを進める。一方、悪い状態の人材については、カウンセリングスキルのあるアドバイザーが対応し、それぞれに個性や状態を活かして業務を割り当て、「牧場の中(決まられた業務)であなたの能力を活かして仕事をしてください。但し、この牧場の中にいて下さいね」とアプローチする。

このように対応すると、「問題が発生しそうな人材」はネガティブな状態が改善され、「問題がない人材」はポジティブな状態を維持し、それぞれの強みを活かして生き生きと仕事をすることができる。問題がある人材はチーム全体に悪い影響を与えない。そのため、組織(チーム)全体のパフォーマンスが上がる。

        

(2)ダークサイド診断

当研究所では、人材のダークサイド(ネガティブな状態)を調べるため、ダークサイド診断を開発した。

ダークサイド診断は、人材が「本質」または「ダークサイド」状態、あるいは、「本質とダークサイドの境界」の状態のうち、どの段階にあるかをダークサイド度で推定するツールである。

 

人には、誰でも「ポジティブな状態(よい状態)」と「ネガティブな状態(悪い状態)」のときがある。例えば、仕事や人間関係がうまくいっている時とうまくいっていない時とでは、周囲に与えるあなたのイメージは大きく異なる。本診断では、この「ポジティブな状態」であるときを「本質」であるとし、「ネガティブな状態」であるときを「ダークサイド」とする。

 

一般的に本人が記入すると、思い込みによる入力となり正しい判断は難しいため、本人に加えて、スキルをもつ第三者の双方が回答すると、その違いにより当人の課題が浮き彫りになりやすい。第三者が入力する場合は、数ヶ月以上の付き合いの中で、実際の行動を観察してから判断するようにする。本人の思考行動を一般的に捉えるだけではダークサイド要素を見つけるのは難しい。以下は「ポジティブな状態」(すなわちよい状態)が強い人材のダークサイド診断の例である。 

図2 ダークサイド診断例

(3)ダークサイド診断を活用する仕組み

 

(0) チームメンバー候補をダークサイド診断により「問題が発生しそうな人材(ネガティブな状態)」と「問題がなさそうな人材(ポジティブな状態)」の2つのグループに分類する。

 

(i)「問題がなさそうな人材」は、BM気質モデル等の心理学的な対応を行い、組織アセスメントで通常のチーム編成に進む。

 

(ii)「問題が発生しそうな人材」は、チームワーク活動を破壊する可能性があるため、注意して対応する(ダークサイド診断のレベルで判断、スキルある第三者の客観的な評価も大切)。

 

(iii)「問題が発生しそうな人材」については、チームワークがうまくできると判断した場合のみ、組織アセスメント、チーム編成に進むことができる。人材が成長し問題が解決された場合も同様である。

 

(iv)「問題が発生しそうな人材」がチームワークで問題が発生しそうと判断した場合は、チーム編成から外し、単独的活動に割り当てる(ピーターの牧場:ポジティブな集団+離れたネガティブな人材)。その際カウンセリング的対応が必要となる。

 

「問題が発生しそうな人材」の事例で、ダークサイド診断を活用した事例を以下に示す。


「ダークサイド診断」(例)