「キャリア形成分析」(概要)


これまでに蓄積した人材分析のデータ及びその分析結果をもとに、当研究所が開発した「キャリア形成分析診断ツール」を紹介する。


「キャリア形成分析診断ツール」の開発背景


私たちを取り巻く環境は大きく変化(デジタル化・破壊的イノベーション・ベンチャーの広がり・市場のグローバル化)しており、今後の予測が難しい状況になっている。企業としてはこの状況をいかに対応するかが求められるところだが、他方、個人については、こういった環境変化のなかで、いかに自身のキャリアを形成していくかが重要なテーマになっている。

 

なお当研究所では、キャリア形成は「個人が充足感を得ながら職業上の経験や状態を深化させて、自己の思いを実現していくプロセス」と定義している。

 

個人の仕事の目的ややりがいも多様化しており、自分の価値観・考え方に合った働き方を選ぶことが大事になってきた。以前の終身雇用制度が崩れつつあり、一つの会社で働くこと自体を中心に考えるのではなく、自分の将来そのものをより広い視野で見つめる時代となっている。具体的な働き方については、副業やフリーランスなど正社員以外の働き方も増え、転職のケースも増加してきた。またデジタル化により、多くの事業所でテレワークが導入され仕事の場所や環境を選べるようになったり、業務上AIをうまく活用することも求められるようになってきている。


「キャリア形成分析診断ツール」の特徴


キャリア形成に関する情報や手法は、書籍や雑誌等を通じて数多く紹介されているが、その効果や成果は期待値ほどではないケースも多いと想像される。その理由として、個人一人ひとりの成育史・個性・思考行動特性などが異なることに着目せず、米国を中心とした海外の、いわば汎用的なキャリア形成手法をそのまま採り入れようとしているところにも課題があるだろう。それゆえ、そういったキャリア形成に関する情報に触れても、身近に感じられない、実感が沸かない、といった感想をもつ人も少なくない。

 

今回、当研究所が開発した「キャリア形成分析診断ツール」では、個人を対象として、キャリア形成タイプを、①「環境依存型」、②「自己自立型」かの軽重を端的に判別し、ビジュアルにグラフで表示している。また、当研究所の「気質タイプ分析」によるタイプ判定などを組み合わせることにより、本人に適したキャリア形成の進め方をアドバイスする。

 

特徴は以下のとおりである。

(1)従来の「気質タイプ分析診断」上で、「気質分析FBS(フィードバックシート)」に加え、(「キャリア形成分析診断ツール」の分析結果を表示した)「キャリア形成FBS(フィードバックシート)」を同時に掲載。

(2)「キャリア形成FBS」では、キャリア形成タイプ(①「環境依存型」、②「自己自立型」)を分析、判別したものを、「気質タイプ分析」結果と組み合わせ、具体的なアドバイスを掲載。

 

以下は、「キャリア形成FBS(フィードバックシート)」の一部抜粋。

「キャリア形成タイプ」を認識することは、自身のキャリア形成を自身で自律的に考えていくなかで、有効性が高く、また、自身の「気質タイプ」を踏まえ、キャリア形成をどう進めていくかの具体的なアドバイスを受けることは、今後のキャリア形成上様々な示唆を得ることにつながるだろう。