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人材の成長・変化を促す要諦

筆者のこれまでの経営者育成および人材育成の経験から、人材が成長、変化するためには、以下が4つの点が重要だと考える。

  1. 刺激による「気づき」:本人がより大きく成長するためには、本人自身が「気づき」を得ることが何より必要となる。そのためには、本人への新しい刺激が不可欠である。
  2. 交流やディスカッションの重要性:一方向の講義や企業訪問調査などにも一定の効果がある。しかし、むしろ普段接することのない異業種や高いレベルの人材との交流、Face-to-Faceのグループディスカッションによる刺激や効果の方が大きい。結果として、「気づき」が生まれる可能性も高い。こういったチームメンバーとのディスカッションなどを通して、本人が①意欲を高め、②自分のポジショニング(強み、弱み)が分かり、③自身に足りないところを認識して努力を講じるところに成長のポイントがある。
  3. 「人材アセスメント」による「気づき」:「BM気質モデル」分析などの「人材アセスメント」により、自分の強みを認識して「気づき」を得るケースもある。「気づき」を得て、意欲を高めた後に、「自分力育成プログラム」などにより、成長・変化を促すことができる。
  4. 「多様性」の視点:本人が「気づき」を得るためには、普段の周囲(組織・チーム)の環境やメンバー構成も重要である。自分と同じタイプや同じレベルの人間と付き合っていただけでは成長は期待できない。本人が「気づき」を得て成長し、そして成果を出すためには、以下のような点に留意するとよい。
  • 「尖った」人材が多く、かつ総体としてバランスをもつ組織・チームを編成することが、個人としても組織としても大きなパフォーマンスを発揮することにつながる。石垣における「穴太衆積み」と同様に、様々な人材タイプを擁する組織が個人の成長を促す傾向にある。
  • 「AGPV 分析」(アグレッシブ―パッシブ:人と人とのコミュニケーションのあり方)および「関心特性分析」(事物への関心と人間への関心)については、一定のバラつき・バランスがある方がよい。これは、組織内に様々なタイプがいた方がコミュニケーションや視野の拡大が円滑に進むことを示す。

以上は、当研究所が実施するワークショップを通じて筆者自身が常日頃から感じるところでもある。